大判例

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津地方裁判所 昭和27年(ワ)72号 判決

原告 近畿商事株式会社

被告 篠木吉子 外一名

一、主  文

被告篠木吉子は原告に対し金四万五千円及びこれに対する昭和二十七年一月三十一日以降完済に至るまで金百円につき一日金三十銭の割合による金員を支払うべし。

原告の被告篠木吉子に対するその余の請求及び被告岡田政子に対する請求はこれを棄却する。

訴訟費用中、原告と被告篠木吉子との間に生じた部分は被告篠木吉子の負担とし、その余は原告の負担とする。

二、事  実

原告は「被告等は連帯して原告に対し金五万円及びこれに対する昭和二十七年一月三十一日以降完済に至るまで金百円につき一日金三十銭の割合による金員を支払うべし。訴訟費用は被告等の連帯負担とする。」との判決を求め、その請求原因として、原告会社は貸金業等取締に関する法律第三条第一項による届出を為した金銭の貸付を業とする商事会社であるが、昭和二十六年十二月三十一日被告両名及び訴外岡田茂一を連帯債務者として金五万円を利息月一割、弁済期日昭和二十七年一月三十日期日に元金の支払を怠つたときは金百円につき一日金三十銭の割合による損害金を支払う約定にて貸与したところ、被告等は弁済期日を経過するも元金の弁済をしないから、茲に被告等に対して連帯して金五万円及びこれに対する弁済期日の翌日である昭和二十七年一月三十一日以降完済に至るまで前記の割合による遅延損害金の支払を求めるため本訴に及んだ旨陳述した。<立証省略>

被告岡田政子は原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として、原告主張事実中被告岡田が被告篠木及び訴外岡田茂一と連帯して原告会社から原告主張の金員を借りたとの点は否認すると述べた。<立証省略>

被告篠木吉子は原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として、被告の父岡田茂一はながらく行方不明中のところ、突然昭和二十六年十二月末帰津したが、住居が見当らないので同人のため津市乙部海岸にバラツク一戸を借りた。然し相当修繕を加える必要があつたのでその費用に充てるため同人に津海岸駅附近に在る土地二百坪位を担保として金借方を依頼し、被告の印章を預けて置いたところ、意外にも同人は被告名義の電話加入権を担保として原告会社から高利の金融を受けていることが判明したが、被告は委任の趣旨に反した訴外岡田茂一の行為につき責任を負うべき理由はないから原告の本訴請求に応ずることはできない。尚訴外岡田茂一が原告会社から金融を受けたとき金五万円から利息として金七千五百円を天引されているものであると陳述した。<立証省略>

三、理  由

原告会社が貸金業等の取締に関する法律第三条第一項による届出をした貸金業者なることは被告等の明かに争わざるところであるからこれを自白したものと看做す。

仍て先ず原告の被告岡田に対する請求につき按ずるに、原告の全立証によるも被告岡田が被告篠木及び訴外岡田茂一と連帯して原告会社から本件金員を借受けたことは認めることができないから、同被告に対する原告の請求は爾余の点につき判断するまでもなく、失当である。

次に原告の被告篠木に対する請求につき按ずるに証人岡田茂一の証言及び弁論の全趣旨によれば、訴外岡田茂一は被告篠木の実父なるところ、同被告から家屋修理のため金五万円ばかりの金策を依頼され同被告の印章を預りその代理人として昭和二十六年十二月三十一日原告会社に対し金融の申入を為し、原告会社は同日被告篠木及び同訴外人を連帯債務者として同人等に金五万円を原告主張の約旨にて貸与することとし、同日金五万円の内から月一割の割合による弁済期日までの一ケ月分の利息と称し金五千円を天引し金四万五千円を交付したことが認められる。凡そ金銭消費貸借に於て貸主が利息の前払又はその他の名義の下に一定の金員を元金の中から控除し、残額のみを借主に交付したる場合に於ては該控除額が現実に授受せられたる金額に照し利息制限法所定の限度内なると否とを問わず消費貸借はただ現実に授受せられたる金額の範囲に於てのみ有効に成立し、右控除額につきては成立せざるものと解するのが至当であるから、本件消費貸借は前認定の如く現実に授受せられたる金四万五千円の範囲に於てのみ成立するものとす。然り而して被告等が今日に至るも右債務の弁済をしていないことは右岡田証人の証言により明かであるから、被告篠木は訴外岡田茂一と連帯して原告会社に対し金四万五千円及びこれに対する昭和二十六年十二月三十一日以降昭和二十七年一月三十日までの約定利率を利息制限法所定の範囲に引直した年一割の割合による利息並に前記金員に対する昭和二十七年一月三十一日以降完済まで約定に基く金百円につき一日金三十銭の割合による遅延損害金を支払う義務あること明かである(原告会社は貸金業を営む株式会社であるから遅延損害金については利息制限法の適用なく、又該特約が特に公序良俗に反するものと認められないから有効なるものと認める。)。

以上の次第であるから、原告の本訴請求中被告岡田に対する部分はその理由なきものと認めてこれを棄却し、被告篠木に対する部分は叙上認定のうち利息の点は原告に於て判決を求めて居らないからこの点を除いて認容し、その余は失当としてこれを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し主文の通り判決する。

(裁判官 笠井寅雄)

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